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アメーバ赤痢の症状や原因、治療法に関する解説
アメーバ赤痢は、赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)と呼ばれる寄生虫によって引き起こされる胃腸感染症です。赤痢アメーバ感染の90%は無症状ですが、そのうち血液や粘液を含む下痢などの症状を示すものがアメーバ赤痢と呼ばれます。
この病気は一般的に、寄生虫の感染型である赤痢アメーバの嚢子(cyst)を含む糞便に汚染された食物や水を摂取することによって引き起こされますが、口腔と肛門の接触によって性行為で感染することもあります。
感染は世界中で起こりますが、特に公衆衛生が十分でない低所得国、中南米、アフリカ、アジアの発展途上国では感染率が高いと言われています。
アメーバ赤痢症は一般的にすべての年齢層で発症し、小児におけるアメーバ症に男女差はありません。しかし、侵襲性疾患は成人では女性よりも男性に多く見られます。
アメーバ赤痢の症状は、無症状のものから稀に重症化するものまで様々ありますが、主に腸管型と腸管外型の二つの臨床型があります。
赤痢アメーバは主に腸管型を引き起こし、症状は通常1~3週間かけて徐々に現れます。一般的な症状には、下痢、血便、吐き気・嘔吐、腹痛、体重減少、高熱などが挙げられます。
腸管外アメーバ症は、寄生虫が血流に入ると全身に広がり、肝臓、肺、脳などの臓器に達することがあります。腸管外アメーバ症は、罹患した臓器によって様々な病気を特徴とします。
最も一般的な腸管外アメーバ症は、肝アメーバ症と肺アメーバ症です。アメーバ性肝膿瘍(肝臓に膿がたまる)は、患者が感染してから数ヵ月から数年後に発症することがあり、症状としては発熱、右上腹部の痛み、10%未満の患者では黄疸がみられます。
肺に病変が生じると、発熱、咳、呼吸困難などの症状が現れます。
下痢とは、さまざまなイオンやその他の基質、ひいては水分の吸収を担う腸の正常な機能のアンバランスによって引き起こされる、便中の水分含有量の増加と定義されます。
下痢は急性と慢性、感染性と非感染性に分類されます。感染症は下痢の一般的な原因であり、ほとんどの症例はウイルス感染によって引き起こされるため、通常、非出血性の水様便が特徴です。
一方、赤痢は腸の感染症で、血便や粘液便を伴う下痢を引き起こします。赤痢には主にアメーバ赤痢と桿菌性赤痢の2種類があります。
アメーバ症は、便や直腸ぬぐい液を直接顕微鏡で観察することで診断できます。赤痢が疑われる場合、医師は便の培養を依頼し、サンプルを検査機関に送ります。しかし、培養の成功率はおよそ60%です。
下痢の重症度は、全血球計算、電解質測定、腎機能検査で判断することができます。便検査でアメーバ症が陰性であった場合は、大腸内視鏡検査も適していると考えられます。
特に腸管外アメーバ症の場合、CTスキャンなどの追加検査を医師が指示することもあります。
赤痢は、特に幼児や50歳以上の人、妊娠中の女性、脱水や栄養失調のある人にとって、適切な治療を受けなければ致命的となる可能性があり危険な病気の一つです。
合併症のない感染症で早期治療を受けた患者の死亡率は1%未満です。したがって、すべての赤痢アメーバ感染症は、感染拡大や腸管外症状の発現の可能性を排除するために適切な治療を行うことが重要です。
下痢や血便の症状がある場合は医療機関に連絡し、詳しい検査と適切な治療を受けましょう。病気の治療には主に抗生物質と制吐剤などの対症療法が行われ、また脱水症状を予防するため水分を十分に摂取することが勧められます。
アメーバ症は経口または糞便経路で感染し、アメーバ症を予防するワクチンや予防薬はないため、衛生管理を徹底することで感染の可能性を減らすことしか出来ません。アメーバ赤痢症の予防には以下のようなものが挙げられます。
● 手指衛生(トイレに行った後、ゴミを扱った後、動物を触った後、また食べ物を扱ったり食べたりする前に、石鹸と流水で手を洗う。)
● 果物や野菜は清潔な流水で洗い、食べる前に皮をむく。
● 魚や肉の加熱不足を避け、すべての食品を十分に加熱する。
● 妊消毒済みか無菌かわからない水は、飲み水や歯磨き、調理に使わない。
● 赤痢に感染している人には近づかない。
● タオル、歯ブラシ、コップなどの身の回りのものを赤痢患者と共有しない。
監修した医師
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内科
Dr.Thoe,Isabella Roseline P.P.
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